「起訴議決は無効」 小沢氏、あすにも提訴(産経)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101014-00000124-san-pol

民主党小沢一郎元代表(68)の資金管理団体陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会の起訴議決は「検察審査会法に違反し無効」などとして、小沢氏が15日にも、国を相手取った行政訴訟東京地裁に起こすことが14日、分かった。小沢氏の弁護人が明らかにした。


とりあえず、やれることはやる、ということなのでしょうか。

行政訴訟法時代の裁判例で、検察審査会による不起訴相当の議決の取消訴訟が却下されたもの(東高判昭和42.11.21:請求を棄却した原判決を取り消した上、訴え不適法として却下)がありますが、どうでしょう。


その理由は、シンプルに言うと「議決の当否を判断する権限は裁判所にはない」というものです。

概略は以下のとおり;

・不起訴処分の当否に関する審査会の議決について取消訴訟を認めることは、裁判所が不起訴処分の当否について審査を行なうことに帰するから、そのような訴えは裁判所の権限に属しない事項を目的とするもので、許されない。


・裁判所が、不起訴処分やこれに関する審査会の議決の当否自体の問題に立ち入らないで、審査会の行なった調査が十分なものだったかどうかについて審査を行なうことは、不可能にちかい。


・不起訴処分の当否に関する審査を行なうにあたって、いかなる方法、程度及び範囲で調査を行なうかは審査会の裁量に委ねられた事項である。審査会の行なった調査が十分なものであったかどうかの点について審査することは裁判所の権限に属しない。

確かに行政訴訟法は新しくなりましたが、上記で挙げられている「裁判所の権限」については、その概念を変えるものではないように思います。


もっとも、記事では、処分取消しの理由として、1回目の起訴相当議決の際にはなかった犯罪事実(土地代金の原資となった小沢氏からの4億円を収支報告書に記載しなかったこと)が2回目の議決時に追加されており、結局この追加犯罪事実に限っていえば1回の議決しかなかったこととなるので、この点が検察審査会法に違反する、ということをあげており、これ自体はもっともな気もします。


しかし、仮にこの訴訟で議決が取り消されても、また議決が繰り返され、しかも今までの「宙ぶらりん」状態が継続してしまうわけで、それならばさっさと公判に移って無罪を勝ち取った方が小沢氏にとってはむしろよいのではないか、とも思います。