2011公法1


「特定地図検索システムによる情報の提供に伴う国民の被害防止及び回復に関する法律」という仮想法律とのこと。


国家対グーグルなんだが(私人間効じゃなかった...)、そういう実質的なこと(違憲立法審査)はさて置いて、まずは訴訟形式から論ずるものだったらしい。あくまで紛争解決。

殺害後、天袋に「潜伏」 強盗殺人容疑で男逮捕 足立の押し入れ死体事件

5/11付け警察発表に依拠すると;

・同日午前1時ごろ
マンションの被害者居室で同人殺害、その後財物奪う(そのまま同居室に滞在)

・午前4時50分ごろ
被害者姉が被害者の遺体発見(通報)

・昼頃
同居室天袋にいた被疑者が捜査員に発見され、逮捕(緊急か)



訴訟上、証拠収集以外で問題となるのは、
・逮捕の形式はいかなるものであったか
 (現行犯逮捕とすると問題)
・殺人と窃盗ではないのか
 (もっとも、2項強盗の可能性:金銭トラブルの存在)
・窃盗だとすると未遂ではないのか
 (財物の占有の移転)

『複合戦争と総力戦の断層−日本にとっての第一次世界大戦』山室信一(人文書院)

早瀬晋三教授の書評で。なるほど、こりゃ面白そう、というか新しい視点がまたひとつ。
http://booklog.kinokuniya.co.jp/hayase/archives/2011/02/post_209.html


本書に指摘があるかどうか、加藤陽子教授の「それでも日本人は『戦争』を選んだ」には、日本人は関東大震災で総力戦を仮想体験した旨の記述がある。震災が1923で、日本の対独参戦が1914、シベリアからの撤退が1925なので、この仮想体験仮説は十分リアリティがあるなと、ちょっと思ってみたり。

昨年の企業倒産内訳

ちょっと前のボ2ネタから、メモとして。

「昨年の企業倒産 「消滅型」の破産が過去最高の72%に」(北海道365)
http://www.hokkaido-365.com/news/2011/02/post-1651.html


このデータを発表した東京商工リサーチは、その理由として以下のことを挙げています。

?00年12月に東京地裁が企業の破産手続きを大幅に簡素化した「法人少額管財手続き」が全国の地裁でも実施されるようになったこと
?長引く景気低迷での業績不振、過剰債務が経営の重荷となり、解消のメドが立たない中小企業が多いこと


直感的にはこれらに加えて、中小で事業承継が上手くいかなくなってきて無理して継続しなくなっているのかな、などと思うのですが(小・零細規模のケースが現状では中心、とのことですので)。


以下、内訳です。

[法的倒産]
 会社更生法(再建型) 15件
 民事再生法(再建型) 525件

 破産(消滅型) 9579件
 特別清算(消滅型) 348件


[私的倒産]
 銀行取引停止 2611件
 内整理 243件

国税通則法改正案の提出

日経朝刊月曜版法務面から。政権交代の賜物、とのこと。
確かに、自民党時代の与党・国税財務省)の関係では、およそこのような改正はなかったんじゃないか、という気はする。


まだ出されてないようだけれども、結構大事な手続改正なので、解散なんかで流してしまいませんように。


改正の趣旨は、手続的に納税者を保護するというもの。
主だったものは以下:


1.税務調査の事前通知義務


2.納税者側からの更生請求の期間が1年から5年に延長
 (それに伴い、国税の増額修正も3年から5年に)


3.増額の更生・決定処分通知書への理由付記




なお、今後の改正のポイントは、以下:


1.国税不服審判所を国税庁から内閣府に移管する
 (中立性確保)


2.税務訴訟の審査請求前置主義を廃止する
 (簡易性・迅速性)

「決済システムの理論と課題」(折谷吉治教授)

本日日経朝刊の経済教室面、メイン企画は「平城京モデル」ということで、なんだか大雑把なはなしだなぁと呆れてしまい(ちなみに、松井先生の「市場を考える」も近刊新書の焼き直しのようで、小遣い稼ぎ感が否めません)。


一方で、「やさしい経済学」では折谷吉治・明大教授による「決済システムの理論と課題」の連載が開始。

本連載では、基本的な概念や主要な決済システムの構造、直面する課題について、実務と理論の両面から解説したい。

将来的に取引法を飯の種の柱にしようとする身からすると、こういう決済システム入門はありがたい。法律ばっかやってると、この手の情報は、重要なのに手薄だったり(特に実務)。

過去1年間の発展途上国での農地買収は4億6,600万ヘクタール (ブラジル日本商工会議所 2010/9/13記事)

なかなか刺激的な話題です。もっとも、これで中国脅威論とかぶつのは戯けですが。
http://jp.camaradojapao.org.br/news/noticias/noticias-agricultura-silvicultura-e-pescas/?materia=7858


短い記事ですので、以下、全文。

中国などは経済成長と共に食糧消費が拡大してきているために、アフリカや南米諸国で食糧生産するために、先を争って農地買収に拍車をかけている。


世界銀行の調査によると2008年10月から2009年8月にかけて発展途上国での農地買収は4億6,600万ヘクタールに達して、英国、フランス、ドイツ並びにイタリアの総農地面積を上回る農地が買収されている。


ブラジルの未開発の農地は世界の15%、アフリカ諸国は70%に達しているために、中国などが先を争って農地を買収している。


海外投資家は2004年から2008年にかけてスーダンで400万ヘクタールの農地を買収、リベリアでは160万ヘクタール、エチオピアでは120万ヘクタールが買収されている。


4億6,600万ヘクタールの農地買収のうちブラジル並びにアルゼンチンは360万ヘクタールに達しているが、ブラジル企業はパラグアイボリビアウルグアイで農地を買収している。


ブラジルのサトウキビ栽培向け農地は更に810万ヘクタールが開拓可能であり、1,800万ヘクタールまで拡大が可能、大豆栽培面積は2倍の2,210万ヘクタールまで拡大が可能となっている。


中国やアラブ諸国が農地買収を進めており、リビアはブラジルで農業生産者と農地交渉を行っている。(2010年9月13日付けエスタード紙)


一種の植民地政策ととれないこともないですが、開発・発展の方法としてその手があったか、と思いもする。要は、搾取しないこと。