朝日新聞社説:柏崎刈羽原発―「想定」は覆された


http://www.asahi.com/paper/editorial20080523.html#syasetu1

原発を建てたころは、地震の揺れの見立てが甘かったのである。

 裏を返せば、地震科学には日々新しい発見があり、断層調査などの技術も日進月歩で進んでいる。これからも想定は塗りかえられていくことを前提にしなくてはならない。

 電力会社などには「原発は設計にゆとりをもたせてあるので大丈夫」という見方がある。だが、柏崎刈羽原発を最後に揺れの想定が出そろってみると、全国のすべての原発が、多かれ少なかれゆとりを食いつぶしていることが明らかになった。

 耐震を考えるときには、研究の進展で新しい懸念材料が出てくることを念頭に置いておかなければならない。

 地震国ニッポンの原発は、ゆとりを取り戻すため補強を急ぐべきだ。


結論自体はよいと思うのだけれど、「原発を建てたころは、地震の揺れの見立てが甘かったのである。 裏を返せば、地震科学には日々新しい発見があり、断層調査などの技術も日進月歩で...」などと、世に恥じない大手新聞が自前のメディアを通じて正式に言うことか、とは思う。
というのも、以下のような報道によって、設計ないし建設当時の状況が明らかになりつつあるからである。そもそも、大手新聞の記者がこのような事態の経過についてなんら知見を持っていなかったとはおよそ信じられないのだが(このことは朝日に限らずそうだと思う)。



「揺らぐ安全神話−新潟刈羽原発:第4部 はがれたベール」(新潟日報
http://www.niigata-nippo.co.jp/rensai/n78/n78h5.html

これほどの激震に襲われた場所になぜ、原子炉の設置が許可されたのか−。中越沖地震で、阪神大震災と同じ最大で震度7を記録した東京電力柏崎刈羽原発。国は1977年、専門家による安全審査の審議を経て1号機の設置を許可した。しかし、中越沖地震の揺れは設計時の想定を大幅に超えた。さらに周辺海域に大規模な活断層の存在が明らかになったことによって、国による安全の「保証」は大きく傷ついた。非公開で行われ、厚いベールに覆われてきた31年前の安全審査。かかわった人物の証言を基にその実態を検証する。

(松田名誉教授の話は、以前TBSの報道特集で見たときと若干印象が異なるような気もしますが...いずれにしろ、「御用委員会」の内幕については、ある程度予想してましたが)。



ちなみに、この手の話を耳にするたびに思うのだが、「原発の安全性」といったときに、その「安全性」をどのへんに設定して話をしているのかがよく分からなくなったりする。