損害拡大防止義務


町村北大教授のところから。

店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降は被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例
(平成21年01月19日 最高裁第二小法廷 損害賠償請求本訴、建物明渡等請求反訴事件)

判例検索:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37200&hanreiKbn=01
本文:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090119143638.pdf


そもそもオンボロの建物であるってところに最高裁が言及しているところから、もはや当該賃貸借契約が継続しているとみるべき基礎が欠けているとみていると考えても良さそうで、損害拡大防止義務を課したというより権利濫用法理で処理したのかな、という気もします。




090213追記)
なーんて書きっぱなしにしていたのをまた読み返していたら、判決理由の4の柱書きで「上記3(2)の判断は是認できない」ってあるじゃん。
間違い訂正です。
つまり、賃貸人による賃貸借契約解除の主張は棄却、賃貸人には依然として修繕義務があるとの原審の判断を維持しているんですね。

だからこの判決は契約当事者である賃借人の損害賠償請求そのものは認めつつも、ある時点からの請求は認められませんよ、と言っているわけです。で、その時点というのは、修繕義務が存在しなくなった時点ではなく、損害がそれ以上広がらないような措置(よその建物を借りるなど)を賃借人が執れた時点、損害拡大防止義務発生時点である、としているわけです。



判例、まだまだちゃんと見ないと判断できないんだな、などと反省。経験不足。