米、金融監督の不備改めよ(原田泰 大和総研CE)


シリーズ「世界的不均衡 どう是正」の2回目、副題は「『アジア主犯説』は誤り−米過剰消費も本質でなく」。


タイトルは標記のようになっているけれども、本文には直接そのような記載はない、という不思議。テーマは、世界的なバブル崩壊の責任は何処にあるかの論証。要は米国の金融監督システムに不備があり、これを悪用するふとどき者がいたからバブった、という話で、論文はそこで途切れている。


大和総研のチーフエコノミストたる人がこういったものを書かれるのかという不思議な感じというか、何今更こんなもん書いてるんだもしかしたら頼まれたんで御題に合わせてテケトウに書いてみましたってな気ももしないではなく、特にこれに触れる動機もあまりないのですが、「円キャリートレード犯人説」を否定した部分があるので、その部分のみ以下に大約を。

・中国の過剰貯蓄が米国のバブル形成の主因であるとの説を補強するものとして、日本の超低金利政策を非難する説、「円キャリートレード犯人説」がある。


・これは、日本の金利は名目では低いが実質では高いことを無視した議論で、受け入れられない。


・90年代末は日本の景気が悪かったので日本の長期実質金利アメリカのそれよりも低かったが、2000年以降はそんなに変わらない。


・海外の金利が日本より高い大きな理由は、インフレ率が高いため。


・長期的に観れば、金利の高さは為替の下落で埋め合わせされ、金利の高い国に投資しても、結局たいした利益は得られないことが多い。

(名目金利)−(インフレ率)=(実質金利)


つまり、この議論の対象となっている時期について言えば、日本の名目金利0%、物価状況はデフレであったのでインフレ率はマイナス、つまり実質金利はデフレ分プラス、ということになる。
このことは、物価が下がっていれば同じお金でより「価値の高い」商品を買うことができるのだからお金の価値が上がったのであり、実質的には金利がついたのと同じ効果がある、ということから直感的に分かる。


んでもって、仮に金利の安い日本で円を借りて市場で円売りドル買い(信用)をし、そのドルで米住宅市場に(直接または間接に)投資、なんてやっても実質金利ではドル円には金利差はないし、長期的にはドルの価値は低下するんだから、儲かりませんよ〜〜〜〜〜...と。


なにか強引な匂いがしないでもなく...そもそも実質金利を持ち出す意味が素人の私にはよく分からないし、長期的に観るってどんだけ長期なんだよ、損しそうになったら手仕舞いするだけじゃんよ、というのが率直な感想です。