危機はいつまで続くのか ―戦後の金融危機から学ぶ―(大和総研CE 原田泰)


副題は「アメリカは「失われた十年」にはならない」。
サマリー:http://www.dir.co.jp/souken/research/report/harada/09012301harada.html
本文:http://www.dir.co.jp/souken/research/report/harada/09012301harada.pdf

今回のアメリカ発世界金融危機を契機として、アメリカが、日本のような失われた十年になるのではないかという議論があるが、そうはならないだろう。


その理由は、第1 に、世界の多くの金融危機のうち、失われた十年になったのは日本だけだからである。


第2 に、日本の場合は金融緩和が遅れたことがその後の回復を妨げたが、アメリカは早期に大胆な金融緩和をしているからである。


第3 に、北欧の場合には資本流出によって金融緩和をすることが困難になった。北欧の資本流出は、87-98 年のアジア通貨危機の状況とも似ている。


アジアでも、急激な資本の流出があって金融緩和が困難になった。
また、アジアについては、IMF が必要以上に金融引締めを求めたからだという意見もある。
いずれにしろ、アメリカの金融緩和政策に制約はない。


先日、日経朝刊の経済教室で論文を書かれた原田氏の本業論文ですが、以上の主張は、
   ・今回の金融危機は以前の金融危機と性質が変わらない
   ・迅速かつ十分な金融緩和によって成長の回復が可能である
ということを前提になされているように思えます。


偉そうなことを言わせてもらえば、これらの前提は採り得ないような気が。なお、結論には賛成。